
「適応障害とうつ病はどう違うの?」
「自分がどちらに当てはまるのかわからない」
そんなふうに、適応障害とうつ病の違いが分からず悩んでいませんか?
実は、この2つは特徴が似ていますが、原因や症状の続き方には明確な違いがあります。
この記事では、適応障害とうつ病それぞれの特徴とその違いを、僕自身のうつ病体験談も交えながらわかりやすく解説します。
さらに、記事の最後には、僕が一番お伝えしたいポイントもご紹介しています。
ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
第1章 適応障害とは
「最近、なんだか元気が出ない」
「仕事や学校に行くのが憂うつ」
そうなふうに感じているなら、それは適応障害かもしれません。
この病気は、次の章で解説するうつ病と間違われやすいのですが、実は大きな違いがあります。
本記事では、適応障害の定義・原因・症状についてわかりやすく解説します。
適応障害の詳しい解説については下記の記事にまとめていますので、こちらも参考にしてください。
1.適応障害の定義
適応障害とは、特定のストレス要因によって心や体に不調が現れ、日常生活に支障をきたす病気のことです。
この病気には、大きな特徴が2つあります。
・ストレスの原因がはっきりしていること
・その原因から離れると症状が軽くなること
この2つが、うつ病との決定的な違いです。
2.適応障害の原因
適応障害の主な原因は、職場・学校生活・家庭の3つに分けられます。
ひとつの大きなストレスによって発症することもあれば、複数の小さなストレスが積み重なって発症することもあります。
職場でのストレス
- 転職・異動:新しい仕事内容や職場の雰囲気に適応できず、強い不安や恐怖を感じる。
- 人間関係:上司からのパワハラ、同僚との対立、孤立など。
- 過重労働:残業や休日出勤が続き、心身の疲労が限界を超えてしまう。
学生生活でのストレス
- 進学・進級:新しい環境やクラスメートとの関係にストレスを感じる。
- 人間関係:クラスに馴染めない、いじめ、仲間外れなど。
- 学校行事:運動会や文化祭など、協力や対人関係が求められる場面でプレッシャーを感じる。
家庭でのストレス
- 夫婦問題:夫婦間のトラブルが、本人たちだけでなく、子どもにも影響する
- ライフイベント:結婚・出産・育児・離婚・死別・親の介護など、人生の節目による心理的負担
- 引っ越し:生活環境の変化により、心身が不安定になる。
3.適応障害の症状
症状は主に、心・体・行動の3つに現れます。
症状の現れ方は人によって違うため、ここでは症状の一例をご紹介します。
心の症状
- やる気が出ない、気分が落ち込む
- イライラしやすくなる、怒りっぽくなる
- 強い不安や緊張が続く
- 集中力が低下する
体の症状
- 睡眠障害
- 頭痛、めまい、動悸
- 食欲不振や過食
- 慢性的な疲労感、倦怠感
行動の症状
- 人との交流を避ける
- 学校や職場に行けなくなる
- ひきこもりがちになる
- 衝動買いや過度の飲酒・喫煙
第2章 うつ病とは
1.うつ病の定義
うつ病とは、脳の働きに異常が生じ、気分の落ち込みや興味・関心の低下などが長期間にわたって続く病気のことです。
現代では誰もがかかる可能性のある身近な病気であり、日本でも15人に1人が経験するといわれています。
特徴は、一時的な不調ではない、ということです。
少なくとも2週間以上症状が継続し、重症の場合は数ヶ月から数年にわたって続くケースもあります。
また、うつ病によって長期の療養が必要になると、学校や職場に支障をきたすことも少なくありません。
最悪の場合は退学や退職を強いられることもあります。
2.うつ病の原因
うつ病の原因は一つに特定できず、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
また、適応障害と違い、明確なストレス要因がない場合も多いのが特徴です。
代表的な原因は、次のとおりです。
- 心理的要因:人間関係の悩み、仕事のプレッシャー、経済的な問題、大切な人との死別などが積み重なり、心の許容量を超える
- 性格的要因:真面目、責任感が強い、完璧主義、他人に気を使いすぎる性格など、ストレスを溜め込みやすい性格
- 生物学的要因:脳内のセロトニンやノルアドレナリンなど、神経伝達物質のバランス異常
- 遺伝的要因:家族にうつ病の患者がいる場合、発症リスクが高まるといわれている
このように、複数の要素が絡み合っており、原因の特定が難しいのです。
3.うつ病の症状
うつ病には、大きく分けて「心の症状」と「体の症状」があります。
心の症状
- 抑うつ気:強い気分の落ち込み、喜びや楽しさを感じられない、絶望感、虚しさ
- 意欲の低下:行動する気力やエネルギーがなくなる、入浴や着替えさえ億劫になる
- 思考力・集中力の低下:仕事や勉強に集中できない、決断ができない、物覚えが悪くなる
- 自責感・無価値感:「自分は価値がない」「迷惑をかけている」と自己否定的になる
- 希死念慮:「死にたい」「消えたい」と感じる、重症化すると自殺願望につながることも
体の症状
- 睡眠障害:寝つきが悪くなる、夜中に何度も目が覚める、不眠や過眠
- 食欲・体重の変化:食欲の低下や過食、体重の急激な増減、胃の不調や吐き気
- 倦怠感・疲労感:慢性的な疲労感、休んでも回復しないだるさ
- 頭痛・肩こり・めまい:ストレスや疲労による身体症状。息苦しさや動悸が出ることも
- 性欲減退:性欲の低下または消失
うつ病にかかると、こうした症状が2週間以上、ほぼ毎日続くのが特徴です。
第3章 適応障害とうつ病の違い
ここまで、適応障害とうつ病の特徴について、それぞれ紹介してきました。
この章では、実際にどのような違いがあるのかを、3つのポイントからわかりやすく比較していきます。
1.ストレス要因の特定のしやすさ
適応障害とうつ病の最大の違いは、ストレス要因の特定のしやすさです。
適応障害:
- 本人が「これが原因だ」と自覚できる、明確な出来事や状況がある
- 原因はひとつであることが多い
- たとえば、職場、引っ越し、人間関係、離婚、家族の病気などの環境の変化
うつ病:
- 原因をはっきり特定するのが難しい
- 複数の原因が複雑に絡み合っている
- 原因がない場合もある
- 環境の変化だけでなく、脳の働きや性格なども関係している
2.症状と持続期間
次に、症状と持続期間にも大きな違いがあります。
適応障害:
- ストレス要因が解消されすると、比較的早く改善しやすい
- ストレス要因に反応してから3ヶ月で発症し、ストレス要因がなくなってから6カ月で改善することが多い
- 症状は比較的軽く、部分的に日常生活が送れる状態(不安や気分の落ち込み、イライラ、不眠など)
うつ病:
- ストレス要因が解消されても、なかなか症状が改善しない
- 数カ月から数年もの間、症状が続くこともある
- 症状は重く、日常生活を送るのが困難(起き上がれない、入浴や食事ができない、自殺を考えるなど)
3.タイプの有無
適応障害にはないが、うつ病は症状の違いによっていくつかのタイプに分けられています。
大うつ病性障害(単極性うつ病)
一般的に「うつ病」と呼ばれているもの。
症状は、食欲不振や睡眠障害、気分の落ち込みなど(詳しくは第2章参照)
双極性障害(躁うつ病)
うつ病とよく似ていますが、うつ状態と、異常に気分が高揚して活動的になる「躁状態」を繰り返すのが特徴。
一般的なうつ病とは全く異なる病気で、治療方法も違う。
躁状態の症状:自信過剰になる、ほとんど眠らなくても平気、多弁になる、衝動買いが増えるなど
持続性抑うつ障害(気分変調症)
比較的軽い抑うつ気分が、2年以上と長期間にわたって続くのが特徴。
症状は軽めだが、長期間続くことで、日常生活に支障をきたす。
また、気づきにくく、治療が遅れやすい。
他にも、次のようなタイプがある。
- 季節性情動障害(冬季うつ病):冬に発症し、春に改善するうつ病
- 産後うつ病:出産後に発症するうつ病
- 非定型うつ病(新型うつ病、現代型うつ病):気分の浮き沈みが激しく、過眠や過食を伴うのが特徴
第4章 僕のうつ病体験談
この章では、僕自身がうつ病と診断された体験についてお話しします。
実際に経験したことをもとに、当時の気持ちや状況を正直にお伝えします。
1.発症のきっかけと原因
僕は地方公務員として働いていましたが、仕事にやりがいを感じられず、退屈な毎日を送っていました。
「もっと専門的な仕事がしたい」と思い、以前から興味のあった税理士事務所への転職を決意。
転職直後は、毎日が刺激的で充実した日々を過ごしていました。
ところが入社から3か月ほど経った頃、少しずつ心身の異変を感じるようになったのです。
その最大の原因は、職場の人間関係でした。
- 質問してもきちんと教えてもらえない
- 見下されているように感じる態度
- 職場のスタッフは自分以外全員女性
- 機嫌をうかがわないと仕事が進まない
- 本人のいないところで悪口を聞かされる
もともと僕はHSP(繊細さん)やAC(アダルトチルドレン)の傾向があり、人間関係には気を使いすぎてしまう性格です。
ただ、それ以上にストレスの多い環境で、常に緊張しながら働く毎日が続き、徐々にストレスが蓄積していました。
2.症状
最初に「おかしいな」と感じたのは、職場に行きたくないと思った瞬間です。
前日の夜から職場のことが頭を離れず、強い憂うつ感に襲われるようになりました。
その後、次々に症状が現れました。
- 吐き気
- 手足の震え
- 汗が止まらない
- 夜眠れず、朝も起き上がれない
- 食欲がなく、ご飯が食べられない
心も体も限界を超えていたのだと思います。
3.診断と回復
心療内科に行った僕は、「うつ病」と診断されました。
医師からは休職も提案されましたが、同じ職場で復帰できる未来が想像できず、泣く泣く退職を決断しました。
退職の意思を伝えた後は、一度も出勤することなく手続きを進めました。
そのとき、「もう行かなくていい」と思えただけで、本当に心が軽くなり、涙が止まりませんでした。
初めて、自分がどれほど追い詰められていたのかを実感した瞬間でした。
そして、退職して1か月後には体調も回復し、症状もすっかり消えていました。
これが、僕のうつ病体験です。
第5章 まとめ
いかがだったでしょうか?
今回ご紹介した「適応障害とうつ病の違い」について、理解は深まったでしょうか?
この記事であなたに伝えたいポイントを、以下にまとめてみました。
●適応障害とうつ病の違いは3つある
①ストレス要因の特定のしやすさ
②症状と持続期間
③タイプの有無
●僕自身も、うつ病で苦しんでいた
今回、僕が一番伝えたいのは、
自分をもっと大切にしてほしい
ということです。
「適応障害なのか、うつ病なのか」と診断名が気になる方も多いと思います。
けれど、どちらかに当てはめたとしても、それだけで症状が回復するわけではありません。
もし体調や気持ちに異変を感じたら、まずは立ち止まって自分の状態を振り返ってみてください。
知らず知らずのうちに、ストレスを抱え込み、無理をしていることもあります。
そして、早めに病院を受診することをおすすめします。
また、ストレス要因がはっきりしている場合は、できる限りそのストレスから距離を取るようにしましょう。
あなたの健康を守れるのは、あなただけです。
頑張りすぎず、「逃げる」という選択肢も持っておいてください。
逃げることは、弱さではありません。
自分を守る大事な手段なんです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
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